あなたへ
あなた
すごい台風よ
怖いくらいの 雨と風
古い我が家は 床下浸水しそうだった
古い古い家は 雨漏りも 凄いもの
あなたさえ 居てくれたら
台風対策だって してくれたし
どうして こんな大変なときに
あなたが 逝ってしまって
四十九日というものが 過ぎたそうよ
ほんとうはね 私
何日経ったのか 数えられないのよ
突然に 突然に
何も言わずに 逝ってしまって
ルークとレオンと
この私を 置いて 逝ってしまうなんて
どういうことなの?
どーしてくれるの?
あの日から
「父さん命」のルークは
あなたの後を追うように 衰弱が激しかったの 知ってるの?
弱っていた右手も左手も 後ろ足も
歩けないくらい弱り切ってしまったの 知ってるの?
タクシーで走り回って 必死で探したのよ カート
私一人の力では ルークの身体を 担ぎあげられないのよ 分かるでしょ?
どーして こんなとき あなたが いないのよ
レオンだって
あの いつもの ノー天気な ヘラッヘラな 笑顔が 消えちゃったわ
あの日以来
あなたが倒れた 寝室には 近づくことも できなくなったのよ
父さんのいない さみしさと
ルークの 異常を
ねぇ あなた
あなたが元気な時に 言ってたこと
「俺が死んでも誰にも知らせんでええから。お前だけが送ってくれたらええから」
っていう 言いつけ
ちゃんと 守りましたよ
すっごく すっごく つらかったけどね
私 ほんとに ひとりぼっちで あなたを 見送ったのよ
すっごく かなしかったわ
でもね
ルークとレオンは
私ひとりでは どうしても 守れないのよ
私が 車を運転できないって 分かってるでしょ?
あの子たちを
病院にさえ 連れて行ってやれないのよ
ルークの 衰弱 どうしても耐えられなくってね
いつもの S先生にね
「父さんが死んだの! 助けて! ルークを助けて!」ってね
SOS出したの
そしたら S院長先生
「分かった!直ぐに往診に行くから!
お母さんは心配しないで!ルークとレオンのことは僕たちに任せて! 」
って 言ってくださった
あのKさんが 新潟から わざわざ 送って下さったのよ
これがなかったら 絶対 ルークは歩けなかったわ
それにね
ジャックママと ルークの実家のママも
あなたが 亡くなったこと 知ってくれて
みんな びっくりしたけど
助けてくれてるのよ
昨日もね
あなたが居なくなってずっと 引き籠ることしか出来なかったルークとレオンと私を
連れ出してくれたわ
今日の台風も
「避難しておいで~!迎えに行くから!」って言ってくれる
ありがたいでしょ?
もうひとりぼっちじゃないんだ って 思える
でもね あなた
私ね 今ね
あなたの写真も 飾ってないのよ
小さくなったあなたに 手を合わせることも 出来ないでいるわ
氷のように冷たくなったあなたの 身体を 触ってるのに
死って あんなに あっけなく やってくるんだ って 思い知ったのに
あなたが 死んだって 思いたくない
写真の あなたの 姿を 見るのが
今は まだ つらいのよ
台風
もう 通り過ぎて行ったみたいよ
少し 静かになったわ
あなた
あなたと いっぱい 話したい
いっぱい 話したいことがあるのよ
帰って来てほしい
我がロッルー家一同を含め
突然に 虹の橋に駆け上がってしまったロッルー父と
親しくして頂いた方々に 心からお礼申し上げます
お別れも言わず 逝ってしまった父さんを 許してやってください
これからは、母と子3人だけの家族となります
にほんブログ村